いつもウォーキングに使っている公園で
セミの幼虫を見つけた
セミの幼虫は最後の脱皮をする時に地上に出てきて
セミになる
【目次】
はじめに
セミが脱皮する様子は日本古くから文学に登場し
無常や蘇りなどをを思わせる
感動のシーンでもある
セミの最後の脱皮は、
なるべく天敵に襲われる可能性の低い時を待つ
大概は、日が暮れてからあとのことだ
孵化の間は、無防備であるため、
アリや鳥などに狙われて、羽を広げる前に
捕食されてしまうことも少なくないのだ
私がウォーキングに行く公園には、
ウォーキングやジョギングができるように
トラックが舗装されていて、距離も書いてくれている
暖かい時期は夜でも
犬の散歩をする人、ベンチで休憩する人
野球やサッカーをする少年たちも多く集う
セミの幼虫、拾ったよ


(左:地を歩く幼虫。右:木に落ち着く幼虫)
いつものように、軽くストレッチしてから
スマホにイアホンをセットし
ご機嫌な音楽を聴きながら歩きはじめる
0.5km前後歩いた所で、舗装されたインコース
ギリギリを歩くセミの幼虫を発見
「こんなとこ歩いてたら誰かに踏まれんで」
そう言って私はその幼虫を捕まえ
近くに植わっている木の幹に掴まらせてあげた
10〜20cmほど木をよじ登っていった
捕まえようとした時に、その幼虫が
「やめれ、やめれ」
とでも言う感じの、右手で私の指を追い払う動作が
なんとも可笑しく
私はまた機嫌よく歩きだした
ウォーキングしながら観察


(左:00分。右:43分)
▲幼虫を木にセッティングした時を00分として
観察してみました
セミの幼虫のことなんか忘れて暫くウォーキング
4.3kmほど歩いた時に、
あ、そうだと思い出し、木を見てみると、
あらなんと、からの背中を破って身体半分ほど
出ているではないですか


(左:47分。右:52分)
▲ここからは、「立ち止まって観察しては歩き」
を繰り返して経過を見守りました
(43分)から(47分)の間にだいぶ出てきましたね
(52分)では若干頭の方が下がるくらいまで出ました


(左:52分。右:55分)
▲少し角度を変えて見たところ


▲この木の根元には別の幼虫が脱皮した跡がありました


(左:59分。右:59分)
▲真横から見たところ
じっとしてます
確かに無防備だな


(左:60分。右:61分)
▲よーく見ると羽が少しずつ伸びてきてます


(左:61分。右:62分)
▲おー、羽。伸びてきたね


(左:63分。右:63分)
▲固まってた手足を動かすようになりました


(左:63分。右:64分)
▲がんばれ
しかしどうやってこの体勢維持してるんやろ


(左:64分。右:64分)
▲お尻を殻に引っかけてた感じから
あらよいしょっと、
腹筋(?笑)使って自らの殻に掴まり


(左:64分。右:65分)
▲お尻まで出てきました
一瞬の出来事!見れてよかった^ ^


(左:66分。右:71分)
▲しわしわだった羽が徐々に伸びてきます


(左:71分。右:76分)
▲薄緑色の不透明の羽が
先端から徐々に透明化してくるのが分かります


(左:81分。右:85分)
▲どうやらクマゼミのようですね
(ここからアブラゼミ展開はないやろ、と)


(左:94分。右:96分)
▲▼羽が風にひらひらなびいて、
飛び立つのももうじきでしょうか
クマゼミの羽の葉脈みたいなスジは黒っぽかったような気がしたけど…
胴体ももっと黒っぽい甲冑みたいな感じだったかな〜、ということはまだ完成形ではないのかな
(96分:この日最後に撮った一枚)
飛び立つのを待とうかとも思いましたが
翌朝までこうしてるかもしれないし…
私の今日の歩行距離も、想定外に伸びたので(笑)
この辺で切り上げました
公園だけで7km歩いたで
きっと無事に飛び立っていくことを願いながら
セミの幼虫は種類により様々のようですが
3年から17年もの間、土の中で数回の脱皮を繰り返しながら成長します
そして、最後の脱皮の前に地中から這い出て
セミになります
成虫の寿命に関しては1週間と言われてきましたが
実際自然界では1ヶ月ほど生きるとの説もあります
成虫は飼育が難しく、詳しい生態がまだ分かっていないようです
バイオミメティクス
「昆虫工学」はとても興味深い分野です
太古の昔からその姿をほとんど変えることなく
変化する環境にも対応しながら種をつないできた昆虫
まだまだ分かっていないことが多いという
その生態や身体構造からは学ぶことが多く、
あらゆる分野の発展の鍵が秘められているようである
その羽には、
飛ぶための力学の智慧が詰まっているだろうし
その目には、
カメラを超える機能が備わっているようにも思える
軽量にして生命の神秘性も併せ持つ「昆虫たち」
私たちを取り囲む自然は
常に多くのことを教えてくれる
(▲お借りした画像)
おわりに(セミの抜け殻の話)
ちなみに、
セミの抜け殻は、「蟬蛻」あるいは「蝉退」と書いて
(読みは、せんたい・ぜんたい)
中国では生薬としても使われている
私は、中国の厦門に留学していた時に
四肢のあちこちに、頑固なできものみたいなのが出来たことがある
それができた箇所は、不思議と
肘から先と、膝から下に限られていた
片方の手に5ヶ所前後、足もそれくらいだったかと思う
強烈な痒(かゆ)みをともない、そのできものの根は深いように思った
せっかくなので漢方薬を処方してもらうことにした
処方された中には、セミの抜け殻がたくさん入っており、皮膚の止痒効果があるとされている
他には、石膏やいろんな草・枝系の生薬も入っていた
(▲これは実際私が処方された薬。画像がナニですみません。セミの抜け殻があるの分かりますか。白い塊に見えるのは石膏です。これに決められた分量の水を加えて煎じます)
それを、自分で買ってきた土瓶で煎じて飲むのだ
その味たるや、おそらく私が今までに口にしたものの中では最強に不味いものであった
あの不味さを思えば、
日本の漢方薬はどれもこれも超美味しい範疇だ