(この記事は2018年5月現在の情報です)
1659年から神戸の御影で続く
「菊正宗(きくまさむね)酒造」さんの
記念館におじゃまいたしました。
【目次】
- 酒処・灘五郷と菊正宗について
- 基本情報
- お庭の展示
- 菊正宗 樽酒マイスターファクトリーの見学
- きき酒コーナー
- 酒造展示室
- 灘の酒道具 文化財保管庫
- おみやげ・売店
- この日買ったお土産
- 追記:お正月毎年恒例のお餅つき
酒処・灘五郷と菊正宗について
「灘五郷」について前回の記事(白鶴酒造さん)でも触れましたが、神戸市東部から西宮の酒造りの盛んな地域を指して「灘五郷」といい、
酒造りに最適な以下の6つの要素
が栄えた理由である。
- 水:ミネラルが多く鉄分が少ない六甲山からの伏流水(地下水)
- 米:播州米に代表される粒の大きな米があり
- 風:冬、六甲山を越えて吹く冷たい乾燥した(六甲おろし)
- 技:近郊の丹波地域に優れた酒造技術を伝える丹波杜氏により、質の良い酒が出来上がりました。
- 川:それに加え山と海が近い地形のため、川に傾斜があり、水車を利用した精米により大量生産が可能になり
- 港:その酒を大消費地の江戸へ船で運べた港もあり、江戸時代より酒造産業が栄えました。
江戸末期に発見された「宮水(みやみず)」と、昭和初期に品種改良によって生まれた「山田錦(やまだにしき)」米が生まれ、更に発展します。
が、阪神・淡路大震災で震源地だったため、木造蔵の全壊などで廃業に至ったメーカーもあり、60社から現在は26社になりました。
(パンフレットの説明より引用)
徳川4代将軍 家綱の時代(1659年・万治2年)、神戸・御影、本嘉納家(ほんかのうけ)の屋敷内に酒蔵が建てられ、酒造りを始めます。
酒造用具などの「国指定重要有形民俗文化財 灘の酒造り用具」566点をはじめ、蔵人たちの仕事と性格、伝承生酛造りの全容を体感できます。
(パンフレットより)
菊正宗酒造記念館|菊正宗~生酛(生もと)で辛口はうまくなる。~
アクセス・フロアガイド・おすすめお土産など詳細はこちらをご覧ください▲
▲菊正宗酒造記念館 出入口
基本情報
会館時間:9:30〜16:30(16:00までに入館)
休館日:年末年始
(事前にサイトなどでご確認ください)
入館料:無料
〒658-0026 神戸市東灘区魚崎西町1-9-1
TEL. 078-854-1029 FAX. 078-854-1028
お庭の展示
お庭にも文化財的なものが展示されていました
撥釣瓶(はねつるべ)
▲動力がなかった時代に井戸水を汲み上げる道具として一般的に使われていました。
天秤棒の一方には重り石を付け、柱の上部を支点としたはね棒の一端に釣瓶(つるべ)を付けた竹竿を結び付けます。
これが井戸内を昇降して水を汲み上げます。
使用年代 大正〜昭和30年頃
(説明看板より)
こういうのが残っているのが良いですね!
水車精米小屋
水の力で大きな杵を動かしました
危険なので小屋の中には入れません
「マイスターファクトリー見学」が
10:30〜と14:00〜と毎日2回開催されているとのことで
少し待てばいい感じの時間でしたので受付で申し込みしておきました。
(当日先着順です。電話の予約受付はしていません)
その間、受付周りをぶらぶら見学〜
立派な看板です▼
白鶴さんとはすぐ近くです
最寄りは阪神御影駅ですね。
阪神線は最も海寄り。
山側から阪急→JR→阪神が走っています。
▼「龍吐水・消防ポンプ」だそうです。
菊正宗 樽酒マイスターファクトリーの見学
時間になりまして、従業員さんに引率してもらい、ファクトリー見学です。
たまたまこの日この時間の見学は私たち2人でした。
ファクトリー見学では、職人さんによる樽づくりの現場に入らせてもらいます。
(必ずしも職人さんが作業している場面に出会うとは限りません)
衛生管理上、ネット帽(支給される)を被ります。
ファクトリー内での写真撮影はできません。
私たちが見学させてもらった時は、職人さんが樽に箍(たが)をはめ込むような作業をされていました。
奈良の吉野杉を使った樽に2週間お酒を寝かせて、
香り高い「樽酒」が出来上がります。
見学時間:10:30〜/14:00〜の毎日2回開催
開催日:記念館休館日を除く毎日開催
定員:毎回20名まで(先着順)
所要時間:約30分
参加料:無料
問い合わせ
菊正宗酒造記念館
〒658-0026兵庫県神戸市東灘区魚崎西町1-9-1
開館時間:午前9:30~午後4:30
休館日:年末年始
樽酒MF専用ダイヤル:078-277-3493
(電話受付時間 午前9:30~午後4:30)
※電話による見学会のお申込みは承っておりません。
ファクトリーと見学詳細はこちらをご覧ください▼
樽酒マイスターファクトリー|菊正宗~生酛(生もと)で辛口はうまくなる。~
きき酒コーナー
ファクトリー見学に引き続き、
きき酒をさせて下さいました
爽やかな「すだち冷酒」、
木の香りがなんとも言えず美味いやら感慨深いやらの「樽酒」、
ここでしか飲めない、非売品の「生原酒」をいただきました。
「生原酒」はアルコール度数19〜20度で、加熱処理をされていない、水も加えられていないお酒。
お酒としての深みや香りはないように感じました。
▲酒蔵ソフトクリームも販売しています
酒造展示室
酒造展示室を見学しました。
上の「大砲」は国指定重要有形民族文化財です。
明治時代に牛車から船にかわり、西宮の宮水井戸場より船で運ばれた宮水は、浜で大砲に揚水して、馬車や牛車に積んで蔵に運ばれた。一般には容量 約5石(1.8ℓが500本)ですが、菊正宗の大砲は約9石(1.8ℓが900本)です。
酒造の夜明けの雰囲気を演出するため、展示室内は暗めに照明設定されています。
▲洗場:精米した白米を踏み洗いする場所。
大量のお米(1日約2トン)を3時間かけて真冬に素足で踏んで洗っていました。
▼釜場:かまどを設けて大釜をすえ、甑(こしき)を載せて米を蒸しました。
▼麹室(こうじしつ):麹を育てる部屋。冬でも高温多湿。蒸して冷ました米を麹室の中に入れ、床の上で麹菌をふりかけます。
▼酛場(もとば):仕込みます。
酛(もと)は、日本酒のもとであり、酒母とも言う。
半切り桶に、麹・蒸米・宮水を入れ、櫂(かい)ですり潰し、さらに酵母菌を植え、酒酵母を育てていく。
▼造蔵(つくりぐら):醪(もろみ)仕込みをする場所。
醪を発酵させ、約20%の原酒になる醪を完成させる。
▼槽場(ふなば):熟成した醪を酒袋1枚1枚に詰め、酒槽に重ねて搾ります。圧搾・滓引き・火入れを行う。
▼囲場(かこいば):囲桶で半年から一年熟成期間を置き香味バランスを整えます。(貯蔵)
ひと夏超え、秋には清酒になります。
菊正宗さんの酒造展示室は、コンパクトで分かりやすくまとめられていました。
▲樽を洗う光景でしょうか
▲濾過機の展示
▲焼印の展示
灘の酒道具 文化財保管庫
▲国指定 重要有形民俗文化財の保管庫があります。
防火扉を開けて…
▲窓ガラス越しに見ることができます
▲文化財の指定を受けた「灘の酒造用具」566点が保管されています。
おみやげ・売店
最後に、お土産屋さんを拝見〜
▲ずっしり重い「酒まんじゅう」!
これは美味しそう。
お酒に合うお漬物や昆布などもいろいろあります。
▼日本酒由来の化粧品も話題になっています
▲▼「菊正宗の社会貢献の一部です」
地元の小学校などに寄贈された机と椅子ですね。
座面が蓋状に開閉式になっており、中に道具などが入る仕組みです。
この日買ったお土産
▲▼「吟醸 酒まんじゅう」
6個入り1,080円。
そのままでも、電子レンジで一瞬チンしても吟醸の香りが立って更に美味しくいただけます♡
おススメ!
こしあんたっぷりどっしりの酒まんじゅう
この時は購入しませんでしたが
「樽酒」はオススメです!
職人さんが作った、「吉野杉の樽」に寝かせて香りづけされたこだわりの逸品を是非一度お試しください。
▲こちらは、後日再訪した時に購入しました。
「大吟醸あま酒」と無添加ゼロの「かみかみ昆布」
あま酒はお酒の香りがしっかりしてあっさり。
アルコール度数は1%未満です。
かみかみこんぶは菊正宗さん製造ではないですが
アテ系に佃煮や梅菓子なども置いてます。
初めは塩っからいと感じましたが、
クセになる美味しさでした。
▲こちらは、他人様からの頂き物の入浴料です。
コメ発酵液とメントールが入っています。
お肌しっとり美人になりそうな感じがしますね♡
追記:お正月毎年恒例のお餅つき
「菊正宗」さんでは毎年恒例
「お餅つきとふるまいぜんざい」のイベント
があると知り、2019年1月3日に行ってきました。
三々五々と人が集まり、午前11時ごろにスタート。
最初は菊正宗スタッフさんがお餅をこね慣らし
次に2〜3人、成人男性が力強い餅つき、
あとは希望の子供たちにつかせてくれます。
ここでついたお餅は、
菊正宗さんのお飾り用餅として使われるそうです。
ほどよい頃に中を覗くと、
ふるまいぜんざいの準備ができていました。
こちら、柔らかい焼き餅が入っていて、
ほっこり美味しくいただきました。
ご馳走さまでした。
全然関係ありませんが、
この後、サンシャインワーフまで歩き、
びっくりドンキーでランチしました。
同日お邪魔した「白鶴酒造資料館」はこちら▼
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