(この記事は2018年5月現在の情報です)
1743年(寛保3年)創業の「白鶴(はくつる)酒造」
さんの資料館におじゃましました。
2013年12月4日、「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録された影響もあってか「日本酒」への注目と活躍の場も広がってきたようです。
「清酒」は日本文化の重要キャストと言っても良い。
神戸には日本一の酒どころ「灘五郷」があって、
見ておきたいと思っていた。
【目次】
灘五郷
- 今津郷(2)大関・扇正宗
- 西宮郷(10)日本盛・灘自慢・喜一・金鷹・白鷹・白鹿・灘一・寶娘・島美人・得若
- 魚崎郷(4)道灌・松竹梅・浜福鶴・櫻正宗
- 御影郷(7)白鶴・菊正宗・剣菱・戒面・福寿・泉正宗・大黒正宗
- 西郷 (3)沢の鶴・富久娘・金盃
の五郷をいい、(カッコ内の数字は酒造さん件数)
合計26酒造さんがある。
神戸・灘の地は、日本の中でも随一の酒どころとして知られている。
灘地域の良質な水(宮水)と気象条件が、清酒の醸造に適している上、この地域には古くから丹波杜氏の伝統の技が受け継がれてきた故であるとのこと。
詳細はこちらのサイトをご覧ください▼
白鶴酒造資料館に来ました
▲白鶴酒造資料館の外観
資料館は、特に予約は必要ありません。
見学も無料です。
公式サイトはこちらです▼
▲お庭を通って
▲竹垣にも日本文化の知恵が詰まってます
▲酒樽を見るだけで、なんかおめでたい気分になります
▲入口
▲入ってすぐの所には、
インパクトのある「大桶」が展示されています。
「大桶」は、約33石(一升瓶約3,300本)の容量があり、酒の貯蔵や醪(もろみ)の仕込みの親桶(おやおけ)として使われました。
(パンフレットより)
酒造りの工程
▲昔の酒造りの工程を、実際に使用されていた道具や人形で分かりやすく再現されています。
酒造りの工程の説明はこちらをご覧ください▼
フロアガイド | 白鶴酒造資料館 | 知る・楽しむ | 白鶴酒造株式会社
▲2階に繋がっているようです。
▲大釜と甑(こしき)ぐつ。
▲洗米の時に使用する桶類。
▲蒸米の様子。
▲「ぞうり差し」:
蔵内で履く藁草履(わらぞうり)を差しておくもので、役職の順に上段から差し込んで使用しました。
▲上から、「杜氏→頭→代司→酛廻→下酛廻→釜屋
→内道具廻→上人→上人→中人→飯炊」の順。
▲2階へ上がってきました
▲麹(こうじ)冷まし:
約2日間かけて出来上がった麹は42℃位あり、筵(むしろ)の上に広げて冷まします。
「麹」は、午前00:30に取出し、夕方18時頃まで筵の上に広げておく。
「添麹」は、午前4時頃取出し、午後23時まで広げておく。
「仲麹」「留麹」は、午前0時頃取出し、午前7時まで留麹は広げておき、仲麹の方は翌朝3時頃まで広げておく。
(資料館説明より)
ワタクシなんだかよく分かっていませんが、
麹には幾つかの種類があって、その生成には厳密な時間管理と手間暇がかけられているんだな、
ということが分かります。
▲阿弥陀車:
先程、入口すぐに展示されていた大桶に繋がっています。
直径3mほどある大桶を、蔵人2人が1階から2階へ上げる作業をしている展示です。
2階の梁(はり)には阿弥陀車が取り付けられており、
約33石(=6kℓ=一升瓶で約3,300本)もある大桶(約800kg)を滑車の原理を利用して2階へと上げているところです。
本来1階の天井は閉じられており、必要時に開閉できる仕組み。
狭い蔵を上手に使った先人達の工夫を垣間見ることができます。
(一部、資料館説明より抜粋)
昔の力学・物理学の知恵に留まらず、先人達の知恵や工夫は本当に凄いなと思います。
残していきたい、伝えていきたいものだと思います。
文化遺産ですね。
▼酛摺り(もとすり)の工程
▲半切桶に仕込まれた酛(酒母)をすりつぶす作業で、最初は3人、次に2人1組になって行う。
櫂(かい)で攪拌する調子を揃えるのと、作業の時間を規定するために、地方によって独特の酛摺り唄が歌われる。
(資料館説明より)
▲大小さまざまなの桶や道具は用途別に使い分けられていたんでしょうね。
▲醪(もろみ)仕込み・醪出し
醪の仕込みは原則として添・仲・留の三段仕込み。
予定の仕込みを終えた醪は、仕込み桶に汲み出し、担桶(にないおけ)で小出桶(こだしおけ)に移します。
次に「上槽(じょうそう)」の工程は、醪を酒袋に入れ、酒槽(さかぶね)で搾って酒と粕(かす)とに分離。
最初は約千枚の酒袋を荒しぼり、翌日、責槽に集めて絞りなおし、さらに一日圧搾して粕を抜きとり清酒が生まれます。
「滓引き火入れ(おりびきひいれ)」の工程:
しぼりたての酒は白く濁っています。
これを約一週間おいて沈殿させ、上澄みを他の桶に移す作業が滓引きです。
そして、殺菌や熟度香味などの調節のために、酒を釜に入れて約60℃に加熱、これを火入れ(煮込み)といいます。
(パンフレットより)
貯蔵の工程:
火入れの終わった酒は囲い桶(貯蔵桶)に入れ、秋まで貯蔵します。
真冬に始まった洗米から、数々の工程を経て、桜の時期に貯蔵に至ります。
▲樽詰(たるづめ)
清酒は、厳選された吉野杉の四斗樽に詰め、出荷。
銘柄商標などを入れた藁菰(わらごも)を樽に巻き、とじ縄をかけると菰冠樽(こもかむりだる)の出来上がり。
鏡開き
▲「鏡開き」は、
運を開く意味を込められたよろこびの儀式です。
詳細は酒造さんサイトをご覧ください▼
鏡開きのいわれは? 樽酒の注文、鏡開きの準備はどのようにすればよいですか?|知る・楽しむ お酒の博物誌|月桂冠 ホームページ(月桂冠さんサイト)
鏡開きの基本知識 | 贈るこころ | 清酒 | 商品紹介 | 宝酒造株式会社(宝酒造さんサイト)
▲焼印など。
▲斗瓶運搬用籠。
▲多少の振動や揺れがあっても運搬途中で瓶が割れない工夫が素晴らしいですね!
▲蔵人の暮らし
昭和初期の蔵人の食事風景を再現しています。
酒造りにおいては大変厳しい上下関係がありましたが、食事に関してはみんな平等でした。
蔵人の楽しみの一つはお酒。牛鍋という銅製の鍋で燗をしていました。
部屋中央にある囲炉裏を囲み、酒を酌み交わしながら、酒造りへの熱い思いを語り合っている、夕食時の和やかな風景が伝わってきます。
(資料館説明より)
役職による上下関係の厳しい酒造り職人さんの世界、でも「食事はみんな平等」っていうのが良いですね。
きき酒コーナー
▲台湾からの団体ツアー観光客さんに混じって、
白鶴さんご自慢のお酒を拝借しました。
ワタシ、お酒ほとんど飲めないんですけど、
全種類試してみないと気が済まないタイプ、ほんで、
何れも全く口当たりが違うのが分かりました。
いろんな趣向の人に合わせた感じ。
▲ワタシの一推しはコレじゃ!
「灘の生一本」!
飲めないくせに酒の中では日本酒がダントツ一番好き
おみやげ・売店
▲お土産屋さんってワクワクします。
諸々種類のお酒はもちろん、
酒まんじゅうや和洋菓子、お酒に合うお漬物、
白鶴ロゴ入りシャツや酒屋さん前掛など。
昨今は美容・健康部門でも注目の日本酒だけあって、石鹸や化粧水・乳液、シャンプーや洗顔クリームなどもあります。
酒袋で作った前掛(腰から下のやつ)が販売されてましたが、首から紐でかける胸当てエプロンがあったら買ってたと思います。
でもほんまは割烹着が一番好きやけど
▼ほんのり甘いお酒や、フルーティで飲みやすく、見た目も可愛い瓶も並びます。
▼酒蔵甘酒ソフト♡
「灘の生一本」とならんでオススメしたい!
白鶴さんの酒粕を使用したソフトクリーム!
お酒の風味がふわっと広がって、
とっっても美味しい逸品でした!
300円!
きき酒で顔まっ赤なってたから余計に美味しかったです(笑)
▲タイ語・ベトナム語・韓国語・中国語(簡体字版・繁体字版あり)・英語・日本語、のパンフレットが設置されています。
私が訪問した時は、
台湾からの団体ツアーバスが来てました。
▲この日、酒蔵甘酒ソフトの他に買ったのはコレ。
「白鶴の大吟醸石けん」
白鶴 純米大吟醸酒『翔雲』配合です。
無着色・無香料・パラベン不使用が嬉しいです。
杜氏さんの手は、
とってもきめ細やかで艶やかだそうです、
日本酒の成分は美肌に良いんですね。
洗顔にも最適だそうですよ。
杜氏に関する参考情報▼
杜氏と蔵人 杜氏に匹敵する技を持つ蔵元の酒造技能者|知る・楽しむ お酒の博物誌|月桂冠 ホームページ
白鶴酒造資料館の基本情報
営業:9:30〜16:30(入場は16時まで)
団体は要予約です
休館日:年末年始とお盆期間
設備メンテナンスのため臨時休館する場合もあります。
詳細は事前にサイトやお電話で確認して下さい▼
入館料:無料
お問合せ:078-822-8907
尚、2018年4月1日よりリニューアルオープンしています。
私が訪問したのは2017年12月でしたので展示様子などが変わっているかもしれません。
白鶴酒造資料館 リニューアルオープン|ニュースリリース|企業情報|白鶴酒造株式会社
おわりに
冒頭にも書きましたが、
「和食」の文化遺産登録をきっかけに、
日本食のみならず、
それらを纏うお酒やお茶・お菓子に留まらず、
日本文化全般にわたって世界から注目を集め始めたようだ。
もちろんそれまでも
「日本の〇〇好き♡」っていう
外国人の方はたくさんおられたでしょうが、
2013年12月以降のその数や勢いはそれまでの比ではないでしょう。
訪日外国人観光客の数の推移もそれを表している。
そして日本には、日本が誇るべきものが、
こんなにたくさんあったことを、その多くを外国人から教わるのである。
私たちは知らぬ間に、多くの優秀な職人を絶やしてきたのかもしれない。
古くから伝わる智慧や文化を失ってきたのかもしれない。
日本は、それが「あたりまえ」だから
「日常」だからが故に、
数々の宝の価値に気付くことがなかったかもしれない。
茶の文化に魅せられる人あり、
工芸技術・文化に興味を持つ人あり、
竹細工に金属加工、独特の建築技術、そんな辺りから入る人も多いかと思うが、
更に奥に入ると「もったいない精神」や恥の文化、
卓越したトイレ文化や清潔好き、
公徳心の高さは誇るに値する個性だと思う。
(*個人差あります)
良くも悪くもガラパゴス化に入りやすい国、
独特の文化の花が咲く島国・NIPPONには
まだまだ諸外国人を魅了する要素が散在しているのではないかと思う。
もっと知ろうと思った
日本の文化。
神戸大学で2018年秋より「日本酒学入門」を開講 | 日本酒好きなあなたに酔い情報をお届け Osakelist
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180426-00000086-asahi-soci
酒蔵・菊正宗さんはこちら▼